山の向こうの世界。トンネルの向こうの世界。
古来より人々は、此方(こなた)と彼方(かなた)の対比の文脈において、己の属するコミュニティーを内と外とに分類し、また、そのコミュニティーに内在する問題を外在化することにより、そのコミュニティーの秩序と安定を計った。
柳田国男の「山男・山女」や「河童」の例を示すまでもなく、それはあらゆる文化圏において人々の心の中に内在された「元型」である。
これはまた、現在においてもやはり我々の心理の深層に内在し、我々の思考に少なからぬ影響を及ぼしているのではあるまいか。
この仮定を検証すべく、我々はそのトンネルをくぐった。
古来より人々は、此方(こなた)と彼方(かなた)の対比の文脈において、己の属するコミュニティーを内と外とに分類し、また、そのコミュニティーに内在する問題を外在化することにより、そのコミュニティーの秩序と安定を計った。
柳田国男の「山男・山女」や「河童」の例を示すまでもなく、それはあらゆる文化圏において人々の心の中に内在された「元型」である。
これはまた、現在においてもやはり我々の心理の深層に内在し、我々の思考に少なからぬ影響を及ぼしているのではあるまいか。
この仮定を検証すべく、我々はそのトンネルをくぐった。
May 11, 19:00-
我々はもみの木で夕餉をとり、大岡山との暫しの別れを惜しんだ。
ペンネを加えたがパスタを限界まで減らし野菜とチーズを増量した「チキンイタリア風」は、主菜たる風格を漂わせ、我々の主食であるコメとそれを育んだ大地の暖かさ、「一汁一菜」を旨とする我々の文化を思い出させてくれるようでもあった。
May 11, 20:30-
我々は、ついにそのトンネルをくぐった!
どこまでも続くかのようなトンネル、背にした街灯による長い影、わずかに見える”ムコウ”の光、、、
May 11, 20:40-
ここは、我々の世界とは違う。
空を、星を目指す無数の多角錐の中にいるかのような錯覚に、私は目眩を覚えた。
その刹那、南米のその先の海で大航海時代の船乗りたちが聞いたという妖精の声が、頭の中に響いたような気がした。
May 11, 20:50-
おお、神よ!このような空間が実在するとは!
我々はそのどこまでも続く空間に恐れおののき、ただ立ちつくすしかなかった。
身体の中から、何かが抜けていくようだった。
聖なるかな、聖なるかな、 聖なるかな、全能者にして主なる神。
昔いまし、今いまし、やがてきたるべき者。
同行者の一人が、そう呟いた。
我々は不思議な感覚に包まれながら、大岡山へと帰還した。
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